廻り続ける世界によせる13題

11 夢の終わり




「もう、行かれるのですか…?」
「…ああ」
「…私もすぐ、行きます」
「待っている…」
「……ユダ…っ」
去っていく後姿に声を掛けたが、掛ける言葉は無い。
「…いえ…なんでも…」
「後で、逢おう…」
それが二人の最後の会話…

「…んっ……あぁ………っ」
闇夜に溶けるような濡れた声…せわしない衣擦れの音が、静寂を破っている…
刻を忘れて睦みあう二人には、闇も光さえも、必要ない…
「…シン……」
愛しい人の声が、耳元で溶ける…もっと、深く感じたいと自ら脚を開く…
「…お願い、です…もう…」
か細い懇願は、意思の強い瞳に制される。乱された肢体は、淫らに揺れる…
互いの明日を忘れよと、抱きあう、ただ刹那、温もりを感じていればいい。
そう、願うのは我侭なのかと、現在(いま)を呪う…
交わった唇から、欲望の雫が滴り落ちる…喉を這う赤い舌が、熱を熾す…高みを求める欲情が、指に絡まる…
強く、引き合えば、歓喜の声で堕ちる…
白い欲望が、夜明けを告げる…

「さぁ、闘いの朝だ……」