「21.

     Cry for the moon 」

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「……静か…だな…」








俺を……
好きだと告げる唇の熱に浮かされ…
月のごとき、穏やかな翡翠の瞳に誘われ…
肌を重ねた…
俺の答えを欲しがる心に爪を立てる…
言葉が、すべてじゃない

…それは、言い訳か…?

己の心を曝け出すことへの…恐れ…?
音にすれば、言葉、は価値を無くす…
…口にすれば…それが、真実なのか…
アイツの指が、俺を…
…追い立てる…





……もう、そんなのは、必要無いのかも…しれんな…

…俺と…アイツの…間で…

そう、思うほどに……俺は……!






『……愛しています…あなたを…あなただけを…』






…声が、聞こえる…脳裏に刻まれた、声が…
アイツの指先を覚えた、俺の身体…
それだけで………こんな………!

…くっ…!

……欲して……いるのか…?…アイツの声を……





「………うっ…………!」


…熱い………くそぉ………熱が…集まる……


「……ふっ……んんっ………!………あっ…………」


窓から差し込む『月光』が、アイツの瞳と同化する…
月の光に…犯される……


「…待てなかったんですか?」


息を…吐き出し、瞳を開けると…
…俺の目の前にアイツが、立っていた…
深緑色の戦闘服の肩紐を外しながら…


…自分で開いた胸元にアイツの唇が降りてくる…


……待っていた……?…この、唇を……?




「……一人じゃ…つまんないでしょう…?…すぐに、イカせて…あげますよ…?」


…一度…感じてしまえば、それは、抑えられない欲望で…
アイツの指を欲して、跳ねる、腰……


「……ああっ……!……もぅ………!!」

「……いいです………お先にどうぞ……僕も、すぐにイキ、ます、から……」








…俺を抱いているのは…誰だ……
俺は、何度も月に向かって、問いかけた……







「…三蔵………」

「……ふっ…んっ……な……にを……?」

「…僕が…見えていますか…?」

「……ああ………視力は…自信…あるが…な……」

「……だったら…瞳を開けて……見てください…僕を…

僕をその紫暗の中に……入れて……!」












…息が、止まるほどの、口付けを……
…俺は………受け止め続けた……
………もっと、欲しいと……願いながら………




END