「指 〜行き着く先は・・・〜」



開け放した窓から流れる雲を眺める。

ただ、それだけの時間。


なのに、


こんなに心、ざわめくのは、なぜ?

耳に届く音楽は、あなたが吐き出す、

吐息だけだというのに。

閉ざされた空間で、ただ、共にいる時間。

それだけが、自分のすべて。

それだけが、自分。

流れる蒼い軌跡。



夕べ…


僕の肩に傷痕を残した爪が、細い軌跡を残して

目の前を過ぎる。

卓の上のカップを抱き締める、指。

僕の肌を抱いた指で、同じ、指で……

追いかけて、追いかけて、

その先を求める。

呼び起こす、記憶…

茜色に染まった部屋で、

同色に染まったあなたの肌を引き寄せた。

快楽に跳ね上がる肢体を砕けよと、抱き締めた。

…猛り狂った欲望を打ち込んだ、刹那、

描く、指の軌跡が、僕を煽る…


追いかけろと、


声にならない音が、僕の脳を犯し続ける…

狂気にも似た時間が二人の間にあった。

辿る指の軌跡が、僕を狂わせる…

欲望は果てなく、貪欲に、あなたを貪る…


抱いて、


濡れる…


息も出来ないくらいの抱擁をあなたに与えましょう。



…欲しいでしょう…?
あなたも…
…ねぇ…三蔵……
もっと、足を開いて……
…僕の指をあげるから……