寝過ごした日曜の朝。
郵便受けに見つけた「いつも」
眼鏡無しの視界は、俺の判断を狂わせやがった…
グシャリ…
右足の下で、小気味のいい音がした…
ご丁寧に俺の眼鏡も一緒に………
「あ゛っ……」
そして、唯一のMD再生機が、天国へ旅立ってしまった…
あぁ……俺ってば………馬鹿……
「マジぃ〜〜〜??」
唐突に、俺の頭の中に妄想の嵐が吹き荒れ始めた……
……知らない事にしちまえば…
届いてない事にしちまえば…
もう………
だけど、中条さんから逃げ切る自信は、無い!(力説!!)
『…斉藤は、どうした?』
『最近、連絡無ぇな…』
それに……アイツらだって馬鹿じゃねぇだろう……
俺が、居なくなってもトキさん達に……
『GAME不参加者の為、あなた達にも責任を取ってもらいます』
責任…責任って……ヴっ……怖すぎて、考えらんない……
でもって、俺だって、どうなるか………
『…斉藤君、あなたには、秘密を守ってもらいます。永遠に話さなくてもいいように…』
だからっ!!最悪……じゃん……
『AAA(ノーネーム)、不戦敗。処理、完了』
「…うっ…うぁぁ〜〜〜っ!ど、どうしたらいいんだ〜〜っ!!」
なに糞!馬鹿にすんな!斉藤電器の息子をっ!息巻いて手にしたって、直る訳、ねーじゃんかっ!!
「見事だよなぁ…チップ、真っ二つだぜ……」
いくらなんでもこんな技術は俺には無いょぉ……
「おっ?友達に貸してもらう??…いや…まかり間違って内容を聞かれちまったら…」
危険は避けたいよなぁ…
「じゃ、やっぱ、トキさんとこに連絡して……」
おっvいいアイデアv
やっぱ、仲間は助け合わなくっちゃ……
『……ただいま電波の届かない場所にいるか、電源が切られております』
「……はぁぁ??!!」
無機質なオペレーターの声が、俺の背中を叩いた気がした……
「じゃ、中条さんっ!!」
『……ただいま電………』
「…………あ゛ぁ………もう、いい……」
内容、早く、聞かなきゃ…だけど、コレ…
手にした、ガラクタ……もう、そうだよな……
不用品、だぁ………
「あぁっ!もぉぉ〜〜〜!!誰か、助けてぇ〜〜っ!!」
「何やってんだ…そんなの新しいMD、買えばいいだけじゃないか……」
「んぁ……??」
…れ?なんだそりゃ、なんて、至極当たり前の結論。
そうだよな…そうだよ……俺、何、考えてたんだ?
ようやく、連絡ついたトキさんからの一言。
MD、踏んづけてから、ただ、トキさん(ここ、大切ね?)の事ばっか、気になって
俺のせいでどうにかなっちまったらって…そればっかで……ヴゥ……恥////
「でもさぁ……1週間も何処に行ってた訳?何度、携帯しても通じないしぃ…」
「…………」
「ねぇ!トキさんっっ!!」
「……バイト…」
「バイト??なんで??なんのバイト??」
「……モデル……ウチの教授の依頼で…な…どうしても断れなくて……」
「…んすか??なんか、歯切れ、悪い……」
「…はぁぁ……」
トキさんが、閉じた襟元を握り締めながら、溜息を付く。
こりゃ…何か、あり、とみた!!
「トキさん!ごめん!!」
閉じた先を知りたくて、身体ごと、トキさんにぶつかっていった。
開いた胸元に残る、痣。
「……な、なんだよ……斉藤……」
「トキさん………これって……」
「………見たな…」
「…うん…バッチリv薔薇色キスマークvv」
「…おい……斉藤……何個もハートマーク付けて会話してんじゃねぇぇっ!!」
ボグッ……!!
……って言った……うん……確かに……俺のかわゆい、ほっぺがぁ……
「痛ってぇ〜〜〜〜っ!」
「痛くて当たり前だ……手加減、無しの出血大サービスだっ!」
俺の腕の下で真っ赤になっているトキさんがいる……俺はもう、それだけで……
「……ごめんっ!」
って、言ったのと、トキさんの唇を塞いだのとどっちが早かったんだっけ??
ま、いいや………
「………斉……藤…待っ……!!」
「……だぁ〜〜めっ!……こんなとこに、こんなの……俺のに変えてやるから……」
それからはもう……
スケベジジイの付けた跡を全部、俺のに変えてやった………
……必死になって、声を殺してるトキさんがかわいくて………
俺、止まんなくなった……
「……いい加減に……しろ………」