共犯

Imagination〜

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定期便。

灰色の封筒。

1枚のMDが俺達の命を

「生」と「死」の間に縛り付ける。

白と黒色は、それだけ。



「ヤっべえっ!!」

寝過ごした日曜の朝。

郵便受けに見つけた「いつも」

眼鏡無しの視界は、俺の判断を狂わせやがった…


グシャリ…


右足の下で、小気味のいい音がした…

ご丁寧に俺の眼鏡も一緒に………

「あ゛っ……」

そして、唯一のMD再生機が、天国へ旅立ってしまった…

あぁ……俺ってば………馬鹿……

「マジぃ〜〜〜??」


唐突に、俺の頭の中に妄想の嵐が吹き荒れ始めた……

……知らない事にしちまえば…

届いてない事にしちまえば…

もう………

だけど、中条さんから逃げ切る自信は、無い!(力説!!)

『…斉藤は、どうした?』

『最近、連絡無ぇな…』

それに……アイツらだって馬鹿じゃねぇだろう……

俺が、居なくなってもトキさん達に……

『GAME不参加者の為、あなた達にも責任を取ってもらいます』

責任…責任って……ヴっ……怖すぎて、考えらんない……

でもって、俺だって、どうなるか………

『…斉藤君、あなたには、秘密を守ってもらいます。永遠に話さなくてもいいように…』

だからっ!!最悪……じゃん……

『AAA(ノーネーム)、不戦敗。処理、完了』

「…うっ…うぁぁ〜〜〜っ!ど、どうしたらいいんだ〜〜っ!!」

なに糞!馬鹿にすんな!斉藤電器の息子をっ!息巻いて手にしたって、直る訳、ねーじゃんかっ!!

「見事だよなぁ…チップ、真っ二つだぜ……」

いくらなんでもこんな技術は俺には無いょぉ……

「おっ?友達に貸してもらう??…いや…まかり間違って内容を聞かれちまったら…」

危険は避けたいよなぁ…

「じゃ、やっぱ、トキさんとこに連絡して……」

おっvいいアイデアv

やっぱ、仲間は助け合わなくっちゃ……

『……ただいま電波の届かない場所にいるか、電源が切られております』

「……はぁぁ??!!」

無機質なオペレーターの声が、俺の背中を叩いた気がした……

「じゃ、中条さんっ!!」

『……ただいま電………』

「…………あ゛ぁ………もう、いい……」

内容、早く、聞かなきゃ…だけど、コレ…

手にした、ガラクタ……もう、そうだよな……

不用品、だぁ………

「あぁっ!もぉぉ〜〜〜!!誰か、助けてぇ〜〜っ!!」


命の期限を確かめる事も叶わず、

斉藤の命は少しずつ、軽くなっていく…

堂々巡りの思考。

天高く、輝く陽光は、容赦無い熱を地上に贈り続ける。

乾いていく心に一滴の水を求めて、

足掻く、刻。

それが、確かなモノにならなくても、それでも前へ進み続ける、

左手に心臓を握り締めながら……






「何やってんだ…そんなの新しいMD、買えばいいだけじゃないか……」

「んぁ……??」

…れ?なんだそりゃ、なんて、至極当たり前の結論。

そうだよな…そうだよ……俺、何、考えてたんだ?

ようやく、連絡ついたトキさんからの一言。

MD、踏んづけてから、ただ、トキさん(ここ、大切ね?)の事ばっか、気になって

俺のせいでどうにかなっちまったらって…そればっかで……ヴゥ……恥////

「でもさぁ……1週間も何処に行ってた訳?何度、携帯しても通じないしぃ…」

「…………」

「ねぇ!トキさんっっ!!」

「……バイト…」

「バイト??なんで??なんのバイト??」

「……モデル……ウチの教授の依頼で…な…どうしても断れなくて……」

「…んすか??なんか、歯切れ、悪い……」

「…はぁぁ……」

トキさんが、閉じた襟元を握り締めながら、溜息を付く。

こりゃ…何か、あり、とみた!!

「トキさん!ごめん!!」

閉じた先を知りたくて、身体ごと、トキさんにぶつかっていった。

開いた胸元に残る、痣。

「……な、なんだよ……斉藤……」

「トキさん………これって……」

「………見たな…」

「…うん…バッチリv薔薇色キスマークvv」

「…おい……斉藤……何個もハートマーク付けて会話してんじゃねぇぇっ!!」


ボグッ……!!


……って言った……うん……確かに……俺のかわゆい、ほっぺがぁ……

「痛ってぇ〜〜〜〜っ!」

「痛くて当たり前だ……手加減、無しの出血大サービスだっ!」

俺の腕の下で真っ赤になっているトキさんがいる……俺はもう、それだけで……

「……ごめんっ!」

って、言ったのと、トキさんの唇を塞いだのとどっちが早かったんだっけ??

ま、いいや………

「………斉……藤…待っ……!!」

「……だぁ〜〜めっ!……こんなとこに、こんなの……俺のに変えてやるから……」

それからはもう……

スケベジジイの付けた跡を全部、俺のに変えてやった………

……必死になって、声を殺してるトキさんがかわいくて………

俺、止まんなくなった……


揺れる光に

己の姿を映し

影の中に自分を見るそれは、

対で共にありたいと切に願うならば、

同じ色に染まれ、

と二人だけの色に

不安定な色の中に

身を任せて

逝ける場所まで

共に逝ける、場所、まで……







「……いい加減に……しろ………」