「時の砂」
風が、揺らぐ、
蒼穹は、霞み、
光は、遠く…
奏でられた藍音は、空気の色を変える。
揺れる髪、震える白いリボンが、首筋をすり抜ける風に、泣く…
今は、居ぬ、かの人を探すように…
真夜中の出逢いは、神が定めた『運命』だったのか?
それを確かめる術さえ、今は無い。
『名をなんと言う…?』
シンが出逢った孤高の天使…
刹那の想い…
今は、流れ落ちる時の砂が、想いを色褪せたモノへ変えてしまわぬように、
抱き締めるだけの、熱…
再び、その熱を己の肉体で、感じる為に…
身のすべてを埋めた温もりの中で誓った言葉を失わないように、
抱き締めて…口付ける…
「…信じています……私の、ユダ……」