「茜雲」
夕日が、シンの横顔を染めている。
(…夕べ俺は…)
自室で二人、雑務を持ち込んで…
気がつくと俺は、いつの間にか眠ってしまったようだ…
朝、傍らには、シンが……
頬に涙の跡を残して…眠っていた…
あれは…あの涙は……
シン……お前が奏でるハープはいつも心地よい響きを俺に与えてくれる…
どんなに疲れた夜もお前の音が、俺を癒してくれる。
この心地よさを俺は…?
…欲している…
そう、なのか?しかし…あの時、感じた衝動は…
『…んっ……ユ…ダ……』
唇から漏れた言葉は、確かに俺の名…
「…シン……」
「はい…?」
いつにない真摯な言音に微かに震えの走ったシン。
振り仰いだユダの顔もまた、茜色に、染まっていた…
「…ユ、ダ……?」
「……すまない………!」
刹那、 シンは自身の唇が、温かい感触に包まれるのを感じた…
(俺の望んでいるものは…お前…なのか…)