「Sunglow」

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「…………!?…くっ…!!」


「……三蔵!?」



立て続けに荒野に響いた銃声。

―――そして、静寂が、訪れた、景色…




「…らしく、ありませんでしたね?」


「…ほざけ……!」



……誰のせいだ…!!…誰の……っ!








――夕べ…




「……三蔵…逃げないで……」


「…もぉ………い……加減に……し………」



三蔵の肢体を這う指先は、その動きを止めようとはせず……

何度も…何度も…………




「…三蔵…?」


「………………!!」



覗き込まれた顔に、今の想いが、張り付いては、いなかったか…?

反射的に三蔵は、顔をそらした…



「…変な人、ですねぇ…」


「……お前に言われちゃぁ……おしまい、だな……」


「…あ〜、ひどいです………その、物言い……」



その間、八戒の動きは、止まることなく、三蔵の手当てに徹していた。

鼻歌が、今にも出そうなくらい、嬉々として…



「…で、なんで、そんなに大袈裟な包帯を巻くんだ…?」


「ああ…単なる、趣味です」



言い切った八戒に脱力感……




だから、気功を使わねぇのか…
…こいつ、危ねぇ………




少しずつ、三蔵の左腕が、白い包帯に包まれていく。




…滲み始めた赤い血が、妙に扇情的で……



…八戒の視線が、一点に釘付けになる…



大きく、息を飲み込む音が、した……








「………八戒………何、考えてる…?」


「…え?…ああ、わかっちゃいました?…なんだか、手負いの三蔵って


壮絶に色っぽいんですよね……したく、なっちゃいました…」


「……なっ…!?…昼間っから、何、バカな事を………」


「…ふふ。僕を拒めたら……やめても、いいですけど……」




言いながら、伸びてきた腕は、金の髪に優しく触れ…撫でるように、

頬へと滑り落ちる…




…瞬間、




夕べの八戒の指先を思い出す……



「…やめ……ろ……」


「どうしてです?…僕を拒否出来るだけの理由をレポートで、


提出、してくれます?」


「……ふざける……な!!」


「…だめです……そんなに欲情した瞳で、凄まれても、


効き目、ゼロです……」


「……勝手に……決め付けるな……!誰が…よ、欲情なん……か…!」


「じゃあ……これは……?」



撫で上げられた双脚の間……




「…いいですね…?」




今度は、三蔵が、その息をすべて、飲み込んだ………









……指
あいつの指が、俺に絡みつく…
また、自分が、自分で無くなっていく…
あいつの触れた場所から、流れ込む熱が、
俺を……





…伝染していく、想いが、俺に告げる…
すべてを、晒せ、と……
…ああ……
わかっている……
ただ、俺だけ、なんだ
…俺が、この指先に……










「……あっ………!?…八……戒………」


「…三蔵………愛してます……」







耳慣れた言葉が、聞こえて、俺は……また……
その言葉に縋り付いている…
…探していた、モノ、のように……







「…ほら、三蔵……綺麗な夕焼けですよ」


「……あ?……なんだ……そんなもん、見飽きてるだろうが……」

気だるさに身を任せて、

三蔵は、汗に濡れた身体をベッドに投げ出していた。




「…そうですけど……特別、なんですよ……」


「……何が、だ……?」



眠りに落ちかけている意識から、八戒に問う。



「……あなたと二人で見る、夕焼けが、です……」


「…………ふ……ん…………」



半身を起こしていた八戒の腰に手を回す…三蔵……



「…寒い……こっち、来い……」


「………はい…」








……今は、いい……
この温もりが……欲しい……













END














上記の創作は、2000HIT感謝として、Free配布とさせていただいております。
今回は、「PALEMOON〜other side」本多悠里様のご協力をいただき、背景のイラストもお持ち帰り「可」といたします。
私の我がままに快く、承諾をいただいたこと、感謝いたします。
ぜひ、悠里様のサイトにもお出掛けくだいませ。


背景「白バージョン」もご用意していただきました。悠里様からは、「どちらかを..」ということでしたが、
もったいないので、両方、UPしてしまいます(御免!)

これからも「Sun−Ctus」をよろしく、お願いいたします。
管理人 MITSUKO