クリスマスの奇蹟

 〜三蔵編〜







クリスマス?

プレゼントだとぉ…?

ケーキまでありやがる……

なんだって、俺が、こんな異国の習慣をやんなきゃなんねぇ?









嬉々として、

「ツリーの飾りつけ足りないんで、買ってきますねv」

ご丁寧にも語尾にハートマークを付けて…

アイツは、出て行った…

『ここにあるお星様は、まだ、付けないでくださいね?』

…ってなぁ…なんで、最高僧の俺が…俺が……

鏡に映った自分の姿。

真っ白いセーターに白のコットンパンツ。

ご丁寧に「白いケープ」

『今日のあなたは、天使です。だから、コレを着て下さい』

…いったい、あの笑顔に逆らえるヤツは、いるのか?…ったく……

「…何、素直に飾りつけをしてんだか……俺も…」




窓の外は、一面の雪景色だ…いつだったか…どっかのバカ猿が

『雪が怖い…』などとぬかしやがった事があったな…

「…フッ……昔話なんざ、柄じゃねぇな……」

……………遅いな

「………………ッ!?」





…………俺は、何を……

3メートル先の門が開くのを待ってる…

今日は、自分が自分で無いみてぇだ…

アイツが……恋しい……なんて……思っちまう、なんて…な……

雪………

「…いつまで、降り積もる気だ?八戒の野郎が、埋まっちまうじゃねぇか…」






――それは、絵に描いたような『クリスマス』の情景。

星ひとつ残して、飾りつけの済んだツリー、

レンガの暖炉には、暖かい炎、

白く、しんしんと降りしきる雪、

…立ち昇るコーヒーの香り…

それが、二人のクリスマス

もうすぐ、あの門の向こうに

あの人が、現れる、両手一杯の…幸せを、抱えて……

Merry Christmas…

永遠の幸福をアナタに……



END